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花に嵐のたとえもあるぞ さよならだけが人生だ=井伏鱒二=
by na-boo
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とあるバー
とあるバー_b0053867_2394555.jpgとあるバーは15年くらい前、
私が20歳のヒヨッコだったころによく行っていた店だ。
バーボンを飲み、エコーという当時130円の安煙草をひっきりなしにスパスパ吸っていた頃だ。
クソ生意気でかわいくないガキだ。

バブル産業が消え、私が若い頃の街とはイメージまでもが変わっている。
昔行ってた店なんてひとつも残っていないはずだった。

最近、会社の人の行きつけの店ということを
たまたま知った。
「えっ、まだあの店あったんだ」というのが正直な感想だった。
確かにイイ店だったもんね。

以前に会社の人と泥酔したときに行ったらしいが、覚えてない。
先日、しきりなおしとして、記憶がしっかりしている状態で
同じく会社の仲間とこの店に行ったのだが、
店主はさっぱり覚えてないようで実に残念だった。
あのころは綺麗にお酒飲んでたからね。

そのころ仲良かったYちゃん。

悪さ遊びはたいがいこのYちゃんから影響させてもらった。
酒も。タバコも。物欲も。アウトローな生き方も。共有してた。

Yちゃんとは昨年の夏に10年ぶりの劇的な再会を果たし、
数度ランチを食った。

知らない人と結婚してて、子どもを持って幸せそうにしてた。

Yちゃんは「いまは煙草の匂いも駄目なの」
というクリーンな奥様に生まれ変わっていた。

「酒も1滴も飲めない体質になっちゃったのアタシ」
という健やかなる婦人になっていた。

億ションに住む有閑マダムになってしまっていた。

変わらないのは物欲だけのようだった。超一流のものを身につけないと私という一級品の女がスタる、というような鼻持ちならぬ高飛車精神は相変わらず。理由もなく自信家で肩肘を張りまくるが、笑顔が子どものように屈託がなくて憎めないキャラだ。

超一級の女でおゲレツ。それがYちゃんやったやん。

あの頃のオラオラ状態で生きていた彼女は、なにかに取り憑かれていたのだろうか。あれはあれで素敵だったのに。戦友を無くしたような気持ちだ。

Yちゃん、自分ね、タバコやめれないよ、もう。
酒だってあれからずっと毎日飲んでるよ。
いまだにクラブに踊りに行くよ。
洋服は着たきりスズメだけどね。
相変わらずブレーメンの音楽隊についていったような少年のままだよ。
でもまだ夢は捨ててないよ。
要領悪いんやもん。あいかわらず駄目人間やろ。
ちびっとは成長してると思うけどね。

自分をちょこっと痛ましく思う自己愛の塊なトコも、
悲しいほどなーんにも変わっとらんよ、私。
by na-boo | 2005-03-10 23:14 | 少数派民族(私の友人)
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