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とあるバーは15年くらい前、
私が20歳のヒヨッコだったころによく行っていた店だ。 バーボンを飲み、エコーという当時130円の安煙草をひっきりなしにスパスパ吸っていた頃だ。 クソ生意気でかわいくないガキだ。 バブル産業が消え、私が若い頃の街とはイメージまでもが変わっている。 昔行ってた店なんてひとつも残っていないはずだった。 最近、会社の人の行きつけの店ということを たまたま知った。 「えっ、まだあの店あったんだ」というのが正直な感想だった。 確かにイイ店だったもんね。 以前に会社の人と泥酔したときに行ったらしいが、覚えてない。 先日、しきりなおしとして、記憶がしっかりしている状態で 同じく会社の仲間とこの店に行ったのだが、 店主はさっぱり覚えてないようで実に残念だった。 あのころは綺麗にお酒飲んでたからね。 そのころ仲良かったYちゃん。 悪さ遊びはたいがいこのYちゃんから影響させてもらった。 酒も。タバコも。物欲も。アウトローな生き方も。共有してた。 Yちゃんとは昨年の夏に10年ぶりの劇的な再会を果たし、 数度ランチを食った。 知らない人と結婚してて、子どもを持って幸せそうにしてた。 Yちゃんは「いまは煙草の匂いも駄目なの」 というクリーンな奥様に生まれ変わっていた。 「酒も1滴も飲めない体質になっちゃったのアタシ」 という健やかなる婦人になっていた。 億ションに住む有閑マダムになってしまっていた。 変わらないのは物欲だけのようだった。超一流のものを身につけないと私という一級品の女がスタる、というような鼻持ちならぬ高飛車精神は相変わらず。理由もなく自信家で肩肘を張りまくるが、笑顔が子どものように屈託がなくて憎めないキャラだ。 超一級の女でおゲレツ。それがYちゃんやったやん。 あの頃のオラオラ状態で生きていた彼女は、なにかに取り憑かれていたのだろうか。あれはあれで素敵だったのに。戦友を無くしたような気持ちだ。 Yちゃん、自分ね、タバコやめれないよ、もう。 酒だってあれからずっと毎日飲んでるよ。 いまだにクラブに踊りに行くよ。 洋服は着たきりスズメだけどね。 相変わらずブレーメンの音楽隊についていったような少年のままだよ。 でもまだ夢は捨ててないよ。 要領悪いんやもん。あいかわらず駄目人間やろ。 ちびっとは成長してると思うけどね。 自分をちょこっと痛ましく思う自己愛の塊なトコも、 悲しいほどなーんにも変わっとらんよ、私。
by na-boo
| 2005-03-10 23:14
| 少数派民族(私の友人)
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