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花に嵐のたとえもあるぞ さよならだけが人生だ=井伏鱒二=
by na-boo
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スクールウォーズ
親戚の子の保護者として、中央区大手門の家庭裁判所なるものに行ってまいりました。
未成年が無免許で原付運転、しかも2ケツ。盗難でないのと、事故がなかったのが救い。
初回だから、5分程度の面接のあとに自動車学校で受ける減点講習みたいなビデオを見て、全体の反省態度次第で、処分なしという審判が下されるわけです。
これが数回になると、保護観察1年や鑑別所などという処罰がくだされます。初回といえども本人の心がけ次第で希望にも闇にもなりかねない、ひとつの岐路となるべく日なのです。

待ち合わせ。
甥はとってもオシャレさん。しかし例に漏れずいかにもトラブルに巻き込まれちゃうよ、ってなニオイのするブイブイないでたちでやってきた。あいかわらずどこの鼻タレより可愛い顔をしている。君を可愛いと思うこの身内や親の気持ちを嬉しい気持ちで満たしてくれよ。こんな場所で逢いたくない。

20人くらいのガキとその保護者が同じ会議室に集められていた。ほとんどがダブダブのヤンキーブランドジャージ。リーゼント。ドリフ靴を踏んだ足元。五感鋭く逃げ足は早そうだ。おお。この風景。どこかで見たことあるぞ。チャーンチャンチャラッチャーンチャーン♪チャンチャラッチャーン♪ フッフッフッ〜愛は奇跡を信じる力よ〜ォ♪♪♪
思わずイソップはどいつだ?と配役を目で探してしまう。なんだか昭和の香りがするじゃあないか、この部屋は。

後方の席に座っている親御さんみんなの雰囲気は神妙だ。13〜15くらいの思春期のガキを持つ親。みな40歳くらいだろうか。私と年端もかわらないのかもしれないが、どうだこの老けようは。おそろしく自分の人生を下降しているじゃないか。おうガキども聞け。おっぱいもろうたカァちゃんたちに白髪増やすよな面倒かけるなバカチンどもめが。・・・と酔ったら大見得きってしまいそうだ(笑)

しかし私は二日酔いだ。のどまでゲロが出てきそう。講習に耐えれるか己のことが心配だ。
私は頼りなく、人に指導なんかできないよ。でもちゃんと大人の顔しなくちゃね。

私が保護者である血縁の悪ガキは、講習のビデオ上映中、ひとりずっと舟をこいで寝ている。さっき、あれほどあの面接官が受講態度で決めると言ったじゃないか。私も眠いが頑張ってるんだ。頑張れよ。ほら、見てごらん。この事故を起こした主人公の少年の母親役は若き日の美保純だよ、まるで昔の日活ロマンポルノのようじゃあないか。ほら、起きるんだ起きるんだジョー。

丹下段平状態で応援する私の熱視線を感じもせず、上体をななめに寝ている。
監視している女性からゆりおこされる。あ〜あ。
それ以降はシャンとしていた。
小さい背中にいろんな事を思う。赤ちゃんのころ。おんぶばかりせがんでいた幼稚園のころ。悩んで泣いて電話してきた日のこと。
君はいま外敵に弱く、個として非力な青二才まるだしだ。今の君は姉歯建築士の偽造設計ビルのようだよ。私を見てみい。外も中もガタガタばい。雨風しのげない切ない家だが、しかし多少の震度では倒れない不思議なあばら屋なんだぞ。こんな人間に保護され心配される君は腐れ外道だ。

しかし君はまだ若い。今からもいろいろあるだろうけど、きちんとした構造建築になるまでまだまだ応援するから頑張れ頑張れ。

処分なしを受け、悪ガキがネコバスならぬ西鉄バスに乗り込む姿を見送る。
甘いが、こずかい銭、ポケットからしわくちゃの1万円札を渡す。

私は仕事へ行く。
言えなかった。説教なんか言えないよ。あれは私だ。
by na-boo | 2006-04-18 10:53 | 日記だび
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